
私たちが食事から摂る肉、魚、卵、大豆などのたんぱく質は、まず胃や腸でアミノ酸に分解され、小腸から吸収され門脈と呼ばれる血管を通って肝臓へと運ばれます。
肝臓に届いたアミノ酸は、主にアルブミンに合成され、血液に乗って全身へと送られます。
まず、内臓に届きその原料になります。その後、筋肉や皮膚、髪、爪などを作る材料となります。さらに、ホルモンや免疫を司る細胞を作ることにも使われる大切は成分というわけです。
血中アルブミンの基準値は成人では一般的に4.0~5.1g/dLの範囲とされています。この数値で、体の栄養状態を知ることが出来ます。また、肝臓・腎臓の健康状態表わす大切な指標です。
アルブミン値が基準値より低い場合、低アルブミン血症と呼びます。どのような時に起るのでしょうか。
食事からのタンパク質摂取が不足していると当然、アルブミンの合成が十分に行われません。また、肝臓で作られるため、肝硬変や肝炎などの肝臓の病気があると、アルブミンの生成能力が低下します。さらに腎機能が低下すると、腎臓からアルブミンが尿と一緒に体外へ排出されやすくなり、低アルブミン血症となることがあります。
肝臓専門医として肝疾患の進行とともに、アルブミン値が低下して行くことは、日常的に観察していました。また、肝臓に問題が無くともたんぱく質の摂取が少なく、アルブミン値が低下すると身体のいろいろな所にサインが出ることに気が付きました。
まず、爪。爪はたんぱく質からできています。アルブミンが低下、すなわちたんぱく質が不足すると、爪がもろくなったり割れやすくなることが知られています。爪は,生命維持の観点からたんぱく質が届く優先順位が低いといわれています。不足すると真っ先に爪に影響が出やすい。爪は健康状態を表わす最初のサイン。アルブミン値が4.8d/dlの方は健康的で厚い爪を持っているようです。
同時に、髪の毛とアルブミンの関連を探ってみました。幸運にも長年通院されている方が理容師さんに、全面的に協力をして頂きました。すると、4.4g/dlでは軽めの筋トレでも筋肉が増えていくことが分りました。さらに興味深いことに4.6g/dlでは肌が綺麗になることが分かりました。アルブミンが、4.7g/dl辺りになると髪の毛が艶やかになることが分ってきました。逆に、4.1g/dl辺りまで低下した場合を新型栄養失調としました。特定の、栄養素が不足している場合このように呼んでいいとのことからです。
血中アルブミン値は、タンパク質を20g摂取したからといって、どの程度上昇するかを断定することは難しい問題です。そこで、長年卵の1日の摂取量からアルブミンの変動を見た経験からの推測値を出してみました。
卵1個にはたんぱく質は約6g含まれていますが、プロテインスコアが100と良質のたんぱく質で、吸収も良く10g程度のたんぱく質として計算しました。勿論、食事をしている状態に1個の卵を追加しているので正確には判断出来ませんが、アルブミン値が0.1g/dl程上昇する感じとして捉えています。
卵を5個食べている方が2名おられますが、1ヶ月で0.5g/dlも上昇し、明らかに元気になられています。「医食同源プロテイン」は20ccのスプーン3杯(30g)でたんぱく質が12.5gです。一日1食であればアルブミンは、0.1g/dl以上、約1ヶ月で上昇すると思います。一日2食となれば、0.2g/dl以上増えることが期待されます。
アルブミン値はまず、筋肉が減らない4.4g/dlまで上げたい時は、一日2食にすればいい計算になります。吸収の速度や体調も考慮すると、すべて計算通りは行きません。私の外来に通院中の方々のアルブミン値と、たんぱく質の摂取状況から割り出された推測値であることをお断りしておきます。
「元気で長生き」の基本は、まずは、足腰の筋肉を減らさないこと。ご自身のたんぱく質、さらにアルブミン値にも心を寄せて頂きたいと切に思います。